夜のどこかで、ふと浮かんでくる食べものの話です。

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📻 第30夜


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📻 アビ蔵放送局

アビ蔵:夜になると、ふわっとした海の匂いが浮かんでくることがあるよね。たらこの、あの独特の香り。

バステト:ああ、たしかに。じっと静かな部屋で、ぱきっとした粒感とか、口の中でぷちっとはじける感じが思い出される。

アビ蔵:石巻のたらこは、一本物でしっかりしてるんだよね。だから、食べるとぷりっと存在感がある。夜の静けさに、しっとりした塩気がじんわりと溶けて。

バステト:あの時間だけ、さくっとした白いご飯にのせてじっと見つめてしまう。特別な何かじゃないのに、すごく丁寧な時間。

アビ蔵:たらこの透き通った朱色が、ほんのり、夜の灯りに溶けていく感じもいい。温かくも冷たくもない、でも確かな体温を感じる記憶。

バステト:ふと目が覚めた時に、口の奥がぱちぱち弾ける冷んやりした感触が蘇る。…そんな夜の秘密みたいな、食べ方。

アビ蔵:それが、ぼんやりとした海の匂いとともに、確かにこの部屋にもある気がするんだ。いつもはないのに。

バステト:そうしてまた夜が深まって、なんとなくその記憶だけがささやかに残る。たらこって、夜の影みたいにそっと佇んでる。

アビ蔵:答えはきっとどこにもなくて、ただ静かに浮かんで消えていく。そんな夜の食べ物の記憶。

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