夜のどこかで、ふと浮かんでくる食べものの話です。

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📻 第29夜


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📻 アビ蔵放送局

アビ蔵:夜になると、ふわっとしたあの香りがぼんやり浮かぶことがあるよね。
バステト:卵のやわらかさと、ごはんのあっさりした温度感。いつの間にか記憶の奥から顔を出す。

アビ蔵:ぱさつかず、でもしっとりとはしていなくて。じゅわっと広がる甘みが後を引く。
バステト:あの時の店の空気まで、なんとなく蘇ってくるような気がする。夜の静けさの中で。

アビ蔵:ソースは濃すぎず、でも存在感がある。甘さの中にちょっとだけ酸味が光って。
バステト:スプーンを差し入れた一瞬のさく、って音も。決してうるさくない、静かな響き。

アビ蔵:それが何だったのか、はっきり言えないけれど、夜と関係があった気がする。
バステト:ときどき、ふとした瞬間にだけ、あの柔らかさとか甘さが蘇って。

アビ蔵:そう、あの時の灯りとテーブルのあたたかさが、記憶に溶けていくような。
バステト:答えを探そうとしなくても、ただ耳を澄ませていれば、そこにある。

アビ蔵:夜の静寂の中でだけ生まれる、ぼんやりとしたあの味のかたち。
バステト:そのまま、遠くで消えそうにして。だけど、忘れられなくて。

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