夜のどこかで、ふと浮かんでくる食べものの話です。

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📻 第15夜


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📻 アビ蔵放送局

アビ蔵:夜になると、ふとあの香りが頭の隅に漂うんだよね。湯気の、じんわりとした温かさみたいな。

バステト:そう、それ。炊き立ての白米がまだ湯気を纏って、ふわっと立ち上ってくる空気。静かな台所の灯りの中で。

アビ蔵:粒が一粒ひとつぶ、すこし透き通ってて。口に入れたときの、ねっとりとほぐれる感じが夜の時間をゆっくり流す。

バステト:夜だけ、そんな質感や匂いが記憶の扉を開く気がして。朝や昼にはなかなか思い出せない。夜の静けさがそれを呼び起こすんだよね。

アビ蔵:淡い光のなかで感じる白米の甘み、それはおかずがなくても満たされる、なんていうか空気のような存在。

バステト:そっと口を閉じるたびに、ふわっと鼻の奥へ抜ける蒸気の香りが残る。夜の冷たさに包まれて、なお一層柔らかくなる。

アビ蔵:あの粒がね、ときどきさくっと音を立てることもあって。手でほぐすだけでなく、歯ごたえの残る瞬間があるって、不思議だよね。

バステト:時間が止まったみたいに感じるあの時刻、やさしい白さがひっそりと輝いてて。なんだか、すこし遠い日の記憶に触れたみたいになる。

アビ蔵:ふとした瞬間に浮かぶのは、ただの白米なのに、いくつもの夜をそっと包んでいる匂いと触感なんだ。

バステト:言葉にしきれないあの感じ。だから夜は、またあの白さを思い出してしまうのかもしれない。

(少し間)

アビ蔵:ふわっとして、さくりとした感じがまた…ああ、また夜が深くなるね。

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