夜のどこかで、ふと浮かんでくる食べものの話です。

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📻 第27夜


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📻 アビ蔵放送局

アビ蔵:夜になると、ふと台所からただよう、あのほのかな香りが浮かぶんだ。じんわりと油があたたまる、サバの匂い。

バステト:骨取りのサバ切身ね。ひと切れずつ、冷凍から出して、焼き始めるときのじゅうっとした音が、夜にだけ妙に耳に残る。

アビ蔵:いいよね、あの脂の感じ。冷たく透き通った空気の中で、ふわっと立ち上る湯気。一瞬だけ、時間が止まったみたいになる。

バステト:骨がないから、ひと口ごとにさくりと身を切り分けられる。夜の静けさのなかで、軽やかなさくっという感触がじつに繊細。

アビ蔵:味噌煮もいいけど、塩焼きのほうが思い出しやすい。焦げ目の少し香ばしいくらいが、ぼんやりした記憶に溶け込んで。

バステト:厚みのある切身が口の中で徐々に溶けてゆく。熱も脂もほどけて、夜の闇みたいに静かで深い余韻を残す。

アビ蔵:ひとり静かな夜、窓の外は冷えている。あのサバのしっとりした余韻だけが、ふいに蘇っては消えていく。

バステト:夜にだけ、あの温度と香り、そして形のない記憶がふわりと戻ってくる。でも、何かはっきりとは言えなくて。

アビ蔵:そう、答えはいつもぼやけている。だけど、また次の夜に思い出すんだろうな。あの小さな幸せを。

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